・ゴリラと聞いて何をイメージする?

ゴリラの第一印象は『凶暴』『強い』『攻撃的』『未知』などのイメージを持っていました。
例えるとブラックホールのような。
黒くて大きくて図り知れない壮大な印象。
ですが現在のイメージは、『平和な動物』です。
天と地くらいにイメージが一変した背景には、彼らの社会性に秘められています。
今回はゴリラの社会性とその魅力についてお話しできればと思います。
・平等社会で生きるゴリラ
人間とゴリラ社会を比較してみましょう。
人間界は、よく縦社会と言われています。
その一方でゴリラは優劣をつけない平等な社会を築いています。
例えば、ゴリラ同士が喧嘩を始めたら弱い立場のゴリラが間に入って仲裁をするそうです。
弱者は自分の意思を主張し、強者は主張を受け止める。
それだけでなく、強者は自分の食べ物を周りの者たちに分ける与える食料分配をおこないます。
強さ・リーダーの本質とは、優劣主導ではなく
周りを巻き込んで豊かな環境を創り上げていくことなのかもしれないとゴリラを見て感じました。
・コミュニケーション
ゴリラたちも人間と同様で様々な手段を用いてコミュニケーションをとり合います。
特に興味深いと感じたのは、『見つめ合い』『ドラミング』です。
この二つの行動でどのようにコミュニケーションを図るのかみていきましょう!
・Face to Face

ゴリラのコミュニケーション方法の一つに
『Face to Face』があります。
遊びに誘うとき、喧嘩の仲裁、求愛などをおこなう際に
相手の顔をじ〜っと見つめます。
そして、額がくっつくのではないかというくらい
かなりの至近距離で見つめていることもあります笑
ゴリラが『喧嘩の仲裁』をすることに感動を覚えるのですが、
その方法として『目を見つめる』というのはさらに感慨深いものがあります。
自分の意思を表現する方法なのですね。
どうしても人間と比較して彼らの行動を考察してしまうのですが、
人間界では「目は口ほどに物を言う」ということわざがありますよね。
コミュニケーションの原型が、見つめ合いだとしたらちょっとロマンを感じます。
・ドラミング
ゴリラと言えば、胸をポコポコと叩く動きが定番です。
グーで胸を叩いていると勘違いされているのですが、実際はパーでポコポコと叩きます。
エンタメ系のテレビで人がゴリラの真似をする時は、決まって攻撃性の強い意味合いを持ったドラミングですよね。
(このやろう!やってやる!)威嚇みたいな。
実際のところゴリラは威嚇をする時ドラミングをおこなうので
間違ってはいないです。
ですがもっともっと愛らしいドラミングもあるんです。
それは、子供ゴリラが大人や兄弟たちを遊びに誘う時です。
オスゴリラのように立派な音は鳴りません。
子供にとっては、音は鳴らずとも叩く動きをすることに意味があるのかなぁなんて思っています。
細くて短い腕を回転させながら胸を叩く姿は、とても力強いです。
・人間のコミュニケーション
人間は言語が発達しているので、わざわざ面と向かわなくても
インターネットを介して自分の感情を相手に伝えることができます。
ですが、やはり対面に勝るコミュニケーションはないと個人的には思います。
「人の話しは目で聞く」と中学の先生からよく言われました。
とある講演で知ったことなのですが、
人間の白目から感情の動きを読み取ることができるそうです。
言葉が話せるからと言って、感情の全てを言語化できるとは限りません。
先生が言った「人の話しは目で聞く」と言うのは、
「相手の伝えたい意図を目から読み取ろうね」ということなのかもしれないと
ゴリラを通して気づきました。
『Face to Face』
・動物園で見たゴリラ

社会性を知った後に見るゴリラは全く違って見えました。
ヴィジュアルだけで彼らを判断せず、行動や表情に対してどんな意味があるのか
彼ら自身に目を向けるようになったんです。
例えば、
子供ゴリラが大きなシルバーバックに遊んでもらう場面がありました。
もちろん親は手加減をしています。一方で子供は全力で力をぶつけているように見えました笑
全力でぽこぽこと戯れても怒られないのは、
親自身も全力で遊んで寛容に受け止めてくれた親の存在があったのかなと思います。
こうして子供のうちから『私たちの社会へようこそ』と
先輩たちからいろんなことを学んで生まれてくる次世代に伝播しているのかなぁなんて。
・最後に
今回は、ゴリラの社会を紹介させていただきました。
日本の動物園で飼育されているゴリラは現在20個体です。(R3/4月時点)
将来的に日本でゴリラを見ることができなくなるであろうと業界からも声が上がってます。
日本で見られなくなっていくと同時に野生のゴリラも絶滅へ向かっているのが現実。
同じヒト科に属しているゴリラ。
私たちと同じように社会を築いて、群れ(家族)を形成しているゴリラ。
人間と同じように、見た目からは想像を超える奥深さを秘めています。
動物園でゴリラを見かけたら、しばらく彼らの様子をじ〜っと眺めてみてください。
ゴリラという種を超えて個を感じることがきっとできるはずです。
そして、飼育下のゴリラを通して野生ゴリラへ想いを馳せる。
動物とは人間を癒すために存在しているのではなく
彼らには彼らの暮らしがあって、それを覗き見させてもらっているという感覚をぜひ知っていただけたらと思います。
どうして20「個体」と言うのか、疑問に思ってapeさんに質問してみたら、「頭数で表現した場合、ゴリラを”個”として認識しにくくなる」と教えてもらえました。動物業界では当たり前の呼び方だそうです。
群れや種として数えるときは「頭」だけど、それぞれの個体として認識するときは「個体」となる。それぞれのゴリラに名前がついてるなら、なおさら「頭」とは数えたくないですよね。
ちなみに、類人猿の研究者は頭でも個体でもなく一人二人と表現することもあるんだとか。
ゴリラへのリスペクト溢れる記事、とっても勉強になりました!